あのデザイン事務所ってどうやって採用してるの?
採用担当者の本音、聞いてきました。
*本記事は『デザインの現場』2007年12月号からの転載です。情報の内容は2007年12月のものです。

新卒でデザイナーを採用したのは、2007年が5年ぶり。少数精鋭でありたい、というか、あまり大所帯にはしたくないので、デザイナー採用は控えている方かもしれません。紹介などで会った方の記録は全部取っておき、採用試験を行う際に改めて声をかけます。今年の土屋の場合もそのパターンですね。通常は、募集告知を雑誌等に掲載することのほうが多いといえるでしょう。クリエイティブの仕事としては、ほかに映像ディレクターとコピーライターもあり、必要に応じて募集を行っています。
実はデザイン科以外の出身者も多いんですよ。大学院で立体物を制作していたり、論文を書いているという人も採用してきました。試験課題は毎回違います。広告に対する考え方と、グラフィックセンス、その二つが分かるテーマを出題するほかに、この仕事では言葉に対するセンスが不可欠なので、文章の課題も考えます。でもまず何よりも、広告を楽しんでつくれるような人が魅力的ですね。(談)
文/高橋美礼

ここ数年は、デザイナーやコピーライターなどだいたい6名ほどの新卒を採用しています。また経験者採用は各制作室の欠員に応じて随時行っています。
新卒採用では、例年平均すると約300名ほどの応募者から、1〜2割程度が2次試験に進み、3次ではその半数に。そして最終の役員面接で数名まで絞り込まれるといった流れです。3次試験までは制作室のボスであるディレクター陣が面接官となり、なるべく応募者の普段の姿や、よい面を引き出そうと質問の仕方や面接の雰囲気を工夫しています。
選考の際には、独創性、的確なコミュニケーション力、柔軟な対応力、という3つの点について検討しており、加えてその方の人柄やデザインに対する姿勢を丁寧に見るようにしています。入社後に成長していく資質を持っていて、物事を推し進めていくパワーがある人ならば、素晴らしいですね。(談)
文/高橋美礼

基本的に経験者が中心で、2年に1度くらいは新卒者も採用します。キャップでは個人のデザイン活動も奨励していて、それぞれフリーデザイナーとして契約します。雑誌のエディトリアルデザインはひとつの専門分野でもあるので、当然ですが雑誌を好きで、編集者と的確なコミュニケーションができ、誌面の内容を把握する能力も必要。だからある程度の学力もほしいところです。
面接では作品以上に、本人のセンスを観察しますね。キャップは特にファッション誌やカルチャー誌が主だから、見た目も大事。高い服を着ているなどではなく、自分という人間をどこまで分かって、どんな服装や髪型をしているのか、そこは特別気にかけます。同時に、グループで仕事をするわけだから、協調性や実直さ、明るさ、といった一般的な人柄も知りたいので、採用時から3カ月間は試用期間にしています。7〜8年で独立する人が多く、補充の意味では採用のタイミングもわりと多いほうじゃないでしょうか。(談)
文/高橋美礼

2005年当時、インターンシップ枠は常に1人分用意していました。国内外問わず、良さそうだったら応じようと。スイスやチェコなどヨーロッパ出身者を4人受け入れたことがあります。
インターンに限らず採用には、返却不要のポートフォリオを履歴書と共に送ってもらうことを一律のルールにしています。ポートフォリオには必ず目を通して、そのときに採用できなくてもすべて保管し、欠員が出たらその中から能力の高そうな人に連絡。作品写真の撮り方や全体の構成で判断はできますので、まず、良いポートフォリオを送ることが大切ですね。
履歴書も常識的な書き方ができていれば、しっかりとコミュニケーションができる人だと考えますから、憧れが先行した夢見がちな手紙などは逆効果。きちんと相手の話を聞き、その上で自分の意見がいえる、そんな人物であるかどうかが、デザインの仕事の良し悪しにも影響するものです。(談)
文/高橋美礼

採用は代表のグエナエル・ニコラと共に決めています。募集は主にウェブで必要に応じて行います。通常、新卒を募集することはなく、基本的に2、3年以上の経験者がほとんどです。1度の募集で30名ほどの応募があり、そのうち面談まで進むのは3名いるか、いないか。これぞという人がいなければ、採用を見送ることもあります。よく作品をクリアファイルに入れて送ってくる人がいますが、ポートフォリオは自分の大切な作品をプレゼンするものですから、もっとアイデアやオリジナリティーを見せてほしいですね。この審査に通った人には課題を出し、その作品プレゼンテーションと面談で合否を決定します。
社員は1人あたり常に5~7のプロジェクトを担当。プロジェクトごとに担当者を選出するので、スキルだけでなく後輩を指導する力や責任感も身につきます。ここで3年みっちり経験を積めば、独立しても通用するくらいの力が持てると思います。(談)
文/杉瀬由希

