採用担当者の本音

あのデザイン事務所ってどうやって採用してるの?
採用担当者の本音、聞いてきました。

*本記事は『デザインの現場』2007年12月号からの転載です。情報の内容は2007年12月のものです。

E.
蝦名龍郎 interview
若いうちは、とにかくたくさんアイデアを出すこと

E.(イー)が新入社員の募集告知を出すのは、求人雑誌などではなく、自社のウェブサイトのみ。「それでも毎年50人前後の応募があります」と、その人気の高さがうかがえる。

E.の入社試験には、1次から3次までの3段階が用意されている。1次試験では学生時代に手がけた作品などを元に面接が行われるが、なんと代表の蝦名龍郎は応募してきた全員と一対一の面接をするという。

「心底デザインが好きじゃなきゃこの仕事は続きません。学生時代の作品を見れば、本当にデザインが好きかどうか分かります。学校の課題以外にどれだけつくってきたか、その量が第一。過去には九州からB倍のパネルを何枚も持ってきた人もいたけど、そういう人は作品のパワーも違いますね」

20名程度に絞られた2次試験では、実在の商品に仮のキャンペーンを行うことを課題に、約2週間で20ポケットファイル1冊分、最大40案までのアイデアスケッチを仕上げる。ここでも作品の量は重要なポイントだと蝦名はいう。

「数案しか出さない人もいるけど、若いうちはつまらないことも真剣に考え、とにかくたくさんのアイデアを出せることが大事。その引き出しの数や可能性が見たいんです」

「成果物を客観的に判断したい」との理由からファイルは無記名で蝦名に渡され、誰の作品か分からないまま採点する。「採点後に履歴書と作品を照らし合わせ、その意外性に驚くこともありますよ」

2次での得点順に上位10人程度が選ばれ、3次へ。この最終審査では同じテーマでの広告制作とそのプレゼンテーションが求められる。作品は、2次のスケッチから発展させたものでなくてもOK。その数も限定されていない。

「ここでもこれまでの印象と切り離してその質、量、完成度を見ます。プレゼンテーションの手法やアピール度ではなく、純粋に面白い作品かどうか。インパクトや新しさがあるかを見ます」

“新入社員は白紙の状態がいい”との理由から、応募資格を「美大新卒」に限っているE.だが、「その条件を知りながらも応募してきた、専門学校生や社会人にはもちろん合います」と蛯名は答える。ハードルを越えようとするエネルギーが、この仕事には必須だ。まずはガッツを見せよう!
文/白坂ゆり