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広告や書籍、ポスター、CIなど幅広いグラフィックワークで、長年デザイン界の第一線で活躍を続ける永井裕明。30歳そこそこで立ち上げたデザインオフィス「エヌ・ジー」も今年で20周年を迎えた。
「紆余曲折あったけど、本当に好きなことは、人はそうそう諦めないものですね。この間、かなりキャリアのあるアートディレクター数人で一緒に飲む機会があったんですが、世間話なんて全然なくて、デザインの話ばっかりなんですよ。デザイン学校の学生がそのままオヤジになったみたい(笑)。みなさん心底デザインが好きなんだなと思って、うれしかったですね」
ベテラン勢が今なおこんなに熱い思いを持っているのだから、駆け出しのころはなりふり構わずデザインに没頭するくらいの情熱があってもいいじゃないか。永井の言葉の行間からは、そんな若手に対する叱咤激励の思いも伝わってくる。エヌ・ジーでも創設以来20~30代のデザインスタッフが常時2~3名勤務しているが、永井が考えるデザイナーに必要な要素とは何なのだろう。
「まず挨拶をきちんとする、時間を守る、目上の人に対して敬意を持つなど社会人としての基本が大事。例えば大御所と一緒に仕事をする場合、若手が大御所と唯一同じ土俵に立てるのは、打ちあわせなどで会うときの「時間」だけなんですよ。だから相手より先に行って待ち、敬意をもって挨拶する。そういうことがちゃんとできる人じゃないとね。それから横着をする人もダメ。おいしいか、まずいかは、ちょっと食べてみれば分かるのに、ただ見ているだけで頭の中で理解しようとする人が多すぎる。バーチャルのまま終わらせないで、もっと体感としてとらえないと。恥をかく勇気も必要です。僕らの仕事は常に新しいことに挑戦していかなければいけない。一定の場所に安穏としていてはいけないんです。僕自身、さんざん恥をかいてきたし、今でもそれを厭わない勇気を自分に課しています」
経験に勝る成長の糧はないと自らの身をもって知ればこそ、驚きや感動を肥やしに積極果敢なチャレンジを、と後輩たちへ助言を送る。永井のその思いに応える気概ある若手デザイナーの出現を期待したい。
ながいひろあき
1957年東京都生まれ。都立工芸高校デザイン科卒業後、デザイン事務所「ブレックファースト」を経て、89年にエヌ・ジー(N.G.INC)を設立。主な仕事に佐川急便、横浜ゴム、PRGR・ADVAN、サントリー、丸亀市猪熊弦一郎美術館、川村記念美術館など。
取材・文/杉瀬由希 撮影/森田兼次
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※情報は2008年9月27日現在のものです。
※このページの情報は「デザインの現場」編集部の独自取材に基づき、掲載しています。無断引用・転載は固くお断りします。
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川村記念美術館で11月30日まで開催されている「モーリス・ルイス 秘密の色層」展のグラフィック。タイトルにちなんだ、シルバーでモーリスの作品を“隠蔽”するデザイン


開設されたばかりのエヌ・ジーのウェブサイト。「ぐっとくるか?」「横着をしない」「恥をかく勇気」など示唆に富むデザイン哲学が永井自身の言葉で綴られている
http://www.nginc.jp/
