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昨年独立し、恵比寿にデザイン会社を構えたアートディレクター加藤秀幸は、役者から転向してデザインを学んできたという、一風変わった経歴の持ち主だ。20代のころより演出家蜷川幸雄が主宰する蜷川カンパニーに所属、舞台やテレビで活動してきたが、自分の中に自然と芽生えた「モノをつくりたい」という欲求に向き合った結果、28歳のときに桑沢デザイン研究所へ入学、イチからデザインを習得する道を選択することになった。現在では、音楽、ファッション、映画などのグラフィックツールや広告を手がけるなど、ジャンルの垣根を超えた活躍が目ざましい。
2007年に発売された映画監督石井聰亙のDVDキーアート・ビジュアルでは、監督から与えられたキーワード“サイケデリック”を、映画のモチーフを使ったコラージュによって斬新に表現。ケツメイシの全国ツアーTシャツのビジュアルも合成写真をイラスト風に仕上げるなど、細部までつくり込む緻密さはアートワークにも通じるところがある。しかし、あくまでも広告的視点からの冷静さを欠くことはない。
「機能するビジュアルコミュニケーションであることが第一だと思っています。商品が売れなければ意味がありませんからね。でもその一方で、役者修行で培った、台本からイメージを読み取って表現に結び付ける感覚は今でも活かされているかもしれません。インスピレーションをひたすら形に落とし込みながら、客観的な視点で定着させていく。その過程では“入り込む”と“俯瞰する”が繰り返し行われています。それは、デザインワークでも同じですね」
現在、女性スタッフとともに働く。今年の会社のテーマは「エロと癒し(笑)」なのだとか。「デザインにはサプライズの要素も必要。僕としては、楽しいエロティシズムをくだらないほど真面目に追求したいんです。突き抜けたくだらなさには、愛が感じられることもありますよね」。
目下、写真集の出版にも取り組んでいる。若手写真家とのコラボレーションで自主制作になるだろうというポルノ・ビジュアル・アート・マガジンの構想は、今後の活動にも大きく影響するにちがいない。ますます目が離せないクリエイターのひとりとなりそうだ。
かとうひでゆき
1965年愛知県生まれ。在学中から、ミュージシャンCharaのショップインテリアを手がける。卒業後、トラウトなどを経て、2007年11月に株式会社グラインドハウスを設立。TBS、エレファントカシマシ、平和紙業などのアートディレクションやアートワークを手がける。世界ポスタートリエンナーレ トヤマ入選など。JAGDA会員。
取材・文=高橋美礼 ポートレート撮影=藤巻徹也
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※情報は2008年3月27日現在のものです。
※このページの情報は「デザインの現場」編集部の独自取材に基づき、掲載しています。無断引用・転載は固くお断りします。
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GINZAN ウエディング ブランディング カタログ


ケツメイシ 2008年ツアー ステージ衣装(Tシャツ)のビジュアル

石井聰亙作品集2のDVDボックスパッケージとラフ。「クリーム」のレコードジャケットのイメージという石井監督からの要望を受けて、現代的なサイケデリックなイメージをつくり出した
